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医療の話題

治験で起きた嘘みたいなトラブル2【患者の重複登録】

今日は治験であった嘘みたいなトラブルの2回目をお送りいたします。

関係者のみなさまは頭を悩ましたことがあるであろう、患者さんの重複登録についてご紹介しましょう

パネル患者とは?

とある試験にパネル患者を組み入れていました。

そこからお話が始まるのですが、まずはパネル患者とは何かについて、ご説明しましょう。

 

パネル患者とはいわゆる治験に参加する意思のある患者さんをデータベースに登録して、そこから斡旋した患者さんのことです。

患者さんでない場合、健常人パネル等と呼ばれることもあります。

 

パネルで有名なところでは3Hメディソリューションの生活向上ウェブというデータベースがありますね。

試しに登録してみると、どんな感じか分かって面白いかもしれません。

ついでに治験に興味があれば、参加したい、参加可能な治験のご案内がくるかもしれませんね。

私も登録だけして、自分の試験の様子を伺ったりしていました。

 

このデータベースは治験に参加したい患者さんのデータベースですので、同意取得率も比較的高く、症例獲得という面では強い味方となりえます。

疾患が合致せずとも、データベースに登録している患者さんに対して、お声掛けするという手立てもありますね。

治験に興味のある、治験に参加したいという集団ですので、適当に広告まくよりも効果的である可能性もあります。

 

しかし、いずれの方法をとったとしても、この「治験に参加したい」という強い思いがネックにもなりうるのです。

例えば糖尿病のように検査値ではっきりと分かるような疾患であればよいのですが、精神疾患のように明確な数字でされるような疾患でない場合は、参加したいという強いバイアスが働く可能性があります。

だから、治験に参加できるようにわざと症状を重めに申告したりするケースもあります。

そもそも治験で募集している疾患ではないケースもあるのです。

 

つまり言い方は悪いですが、「症例の質」という面では注意が必要であるということです。

これについては2ndスクリーニングや客観的な評価を入れる等、ある程度の対策は講じられますが、ここでは深く言及しないことにしましょう。

重複登録の事例

さて、長々と記載してきましたが、パネル患者というのは治験に入りたいという意思が強く、それがしばしば有効性評価に影響を与える可能性があるという点を認識頂ければ問題ありません。

 

話を戻します。

そんなパネルの患者さんが試験に登録されたのです。

それ自体は何の問題もなく、喜ばしいことです。

 

もろもろの選択基準/除外基準をクリアし、患者さんは治験に組み入れられ、治験薬を服薬されました。

そして治験を無事に完遂されました。

めでたしめでたし。

 

だったのですが、その後別のクリニックで普通の通院患者さんとして治験に登録されたのです!

これがいわゆる重複登録です。

 

我々は患者さんの名前(個人情報)を収集しているわけではありませんので、この事実の発覚には多少プロセスを踏みます。

検知システムについて、深く述べると、恐らく業界の方は私の所属を簡単に見抜くと思いますので、ここでは触れません。

ただでさえ、身バレの危険が強いと思われますので><

非常に簡素化して記載するとすれば、生年月日と性別が一致していれば、まずは警戒するべきということですね。

 

ともかく、同じ試験の他施設で患者さんが重複登録されてしまったのです。

一方はパネル患者として、もう一方は通院患者として。

 

これは「ふーんそうなんだ?」では済まない問題です。

同じ試験に同じ患者さんが再度登録されることは、治験において大変クリティカルな問題なのです。

状況にもよりますが、どちらのデータも使えなくなるケースが多いです。

場合によっては施設ごと使えなくなるケースもあります。

 

CRCさんやDr.は同意説明の際に、他の治験に参加していないか、この治験に参加したことはないかを必ず聞きます

除外基準にも含まれていますからね。

そしてもし、他の治験薬を飲まれる状態で治験に参加したり、同じ試験に重複登録されてしまったら、大変な事態になることを分かっているからですね。

 

そのまま素通りしないように入念に確認するわけです。

治験に参加したことがあるという直接的な確認以外にも、過去の疾患の状況や服薬歴を確認する試験でしたので、

隠そうとしない限りはおのずと発覚する状況でした。

 

それでも患者さんはしらを切ったということですね。

明確な意思をもって、過去の治験の参加を隠したのです。

 

それだけ治験に参加したいという思いが強かったのでしょう。

お金が欲しかったのかもしれないですし、治験薬がとても気に入ったのかもしれません。

 

理由などどうでもよいのですが、この行為は治験に携わる全ての方、私たち治験依頼者や医師、CRC、そして同じように治験に参加している患者さんや、薬を待ち望んでいる患者さんたちに多大な影響がある行為です。

あまり患者さんを責めるようなことは言うべきではないと思いますが、さすがにもう少しモラルを持ってほしいな、と思います。

 

るな
るな
・・・ほんと大変なことなんだよ?

まとめ

今日は重複登録事例について考えてみました。

この件はレアケースではありますが、決して起こらない事象ということではなく

しばしば耳にする事象でもあります。

 

これを目の当たりにした時、私はかなりメンタルにダメージを受けました。

なんというか裏切られた感じですよね。

私なんかより、現場の先生方やCRCさんは、もっとダメージを受けたのだと思います。

るな
るな
どうかこのような行為は行わないように、私からのお願いです。 

いつになくシリアスな雰囲気になってしまいましたが、それだけショッキングな話だったのです。

みなさんはどう思われますか?