お騒がせバイオベンチャー、サンバイオのご紹介です。
概要
万年赤字バイオベンチャーで、配当や優待はありません。(2020年10月18日現在)
脳梗塞(外傷性、慢性)に対する再生医療製品をパイプラインに持ち、有効な治療法がない脳梗塞に対する画期的な新薬を出すことで大きく飛躍できるのではないか、と考えられてきました。
2018年秋にはストップ高3連の末、2019年の頭には12,000円まで急騰しましたが、慢性脳梗塞に対する臨床試験の失敗により、株価は転げ落ちるように下がってしまいました。
外傷性脳梗塞の進捗もあり、途中復調の兆しもありましたが、スポンサーである大日本住友製薬に見捨てられ、再び株価は急落しました。
2020年になって、国内において治験を再開する見込みとの動きもあり、息を吹き返しましたが、基準を下げた臨床試験をクリアしたとして、需要のある薬剤を上市できるかは疑問が残ります。
またそもそも治験を実施する金銭的な不安もあり、当然成功するかどうかも分かりません。
業績/特徴
赤字が続く中、慢性脳梗塞の試験は失敗し、スポンサーも失いました。
臨床試験の失敗自体は次の試験につなげればよいのですが、臨床試験は莫大なお金がかかりますので、スポンサーを失った痛手は大きいです。
新たにスポンサーを見つけるにしても、治験薬についての理解や開発戦略の協議、マイルストーンのすり合わせには時間を要するでしょう。
CNS(Central Nervous System:中枢神経系)領域の試験、とりわけこれまで薬剤の出ていない疾患については「評価系」も構築しないといけません。言い換えれば、ゴールを自分でつくらないといけません。
サンバイオはゴールを高くしすぎていたため、主要評価項目で有意差を出すことができませんでした。
しかしではゴールを低くすればよいのかというと、そんなに単純な話ではありません。ゴールを低くすると、その薬の既存薬や疾患の治療に対する優位性を示しにくくなるからです。
昨今、医療経済学的観点から費用対効果を見極めることに世界的に力が入れられています。HTA(医療技術評価)というものですね(東大の五十嵐先生が権威です)。
仮にハードルを下げた臨床試験で成功したとしても、それは十分な費用対効果が認められて、十分な薬価がつくのでしょうか。
再生医療製品は製造にコストがかかることから原価が高く、薬価も高くなりがちです。
効果が中途半端な薬を世に出しても、患者さんの役に、ひいてはサンバイオの売り上げにはつながらないのではないでしょうか。
そして今のところ順調に進めている外傷性脳梗塞ですが、慢性脳梗塞と比べると患者数は少なく、市場規模は小さいです。
アメリカでは退役軍人に需要がありますが、それでも慢性脳梗塞の患者数を上回ることはありません。
なお理由は良く分かりませんが、上市予定時期が1年間後ろ倒しして、2021年1月となったことも不安材料ですね。
所感
主軸となるパイプラインに傷が入ったため、株価は急落していますが、それでも時価総額を考えるとまだまだ高値圏です。
仮にも外傷性脳梗塞の適応を予定通りに取れたとすれば、株価は一時的に急騰するでしょうが、市場規模を考えるとあくまで一過性の上昇にすぎないと考えています。
よってこの状況にチャンスを見出すにしてももう少し安く(三桁)ならないとインできないと私は考えます。マネゲ化しやすい銘柄ですので、波に乗るのが上手い方なら楽しめるのかも。
1型糖尿病にも手を出していますが、まだまだ研究段階ですねー。
こっちも頑張ってほしいのですが。
※当ブログにおける見解は個人的見解であり、所属する企業の見解ではございません。また特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。