以前、バイオ医薬品の後発品たるバイオシミラーを取り上げた際に、バイオ医薬品のオーソライズドジェネリックは先発品と同等であり、信頼性が高いというお話を頂きました。
厳密にいうとバイオシミラー(似ているもの)ではなく、バイオセイム(同じもの)ということになりますね。
このお話も踏まえ、先発品と同じものと言える「オーソライズドジェネリック」についても取り上げてみようかと思います。
ちなみに私はジェネリック医薬品は嫌いですが、オーソライズドジェネリックであれば嫌いではありません。
いったい何が違うのか?といった点も含めて見ていきましょう。
目的
ジェネリック医薬品(後発品)
先発品との違い
ジェネリック医薬品とは特許が切れた後に作られた医薬品で、先発品と有効成分が同じものです。
先発品が適応拡大で用途特許を上手に使っている場合は、ジェネリック医薬品が同じ適応を名乗れないこともあります。
効果も同じとされていますが、原薬や添加物が異なるため、必ずしも効果が同一とは限りません。
通常のジェネリック医薬品は「先発品と同じ有効成分」とうたって、CMも流しています。
でも「先発品と全く同じ薬」とは言っていないはずです。
なぜなら「ジェネリック医薬品は先発品と全く同じ薬ではない」ためです。
確かに生物学的同等性は確認されており、有効性や安全性が同じくらいだろうということは保証されていますが、原薬や添加物等に違いがあります。
この違いが有効性や安全性、使用感に違いをもたらすことがあります。
特に精神科の先生方にお話を聞くと、センシティブな疾患であることもあり、ジェネリック医薬品を嫌う方が多く見受けられました。
逆に長期に使用されることから、ジェネリック医薬品を積極的に使用する先生もおられますけどね。
供給の不安
後発品の会社は小さな会社も多く、原薬供給の滞りから市場への安定供給の不安や品質に関する不安もあります。
最近のニュースでは「日医工」が回収騒ぎを起こしていましたね。
日医工は2019年にも抗菌薬のセファゾリンの供給問題を引き起こしています。
イタリアにおける原薬製造の際に異物が混入したことが原因の一つです。
日医工のシェアは6割にも上ったため、医療現場には甚大な影響をもたらしました。
この件は抗菌薬に関する記事でも触れています。
・参考:
利点
ただ先発品より安いので、患者さんにとってはそれが利点になりえますね。
ジェネリック医薬品を薬局でもらうと、もれなく後発品加算がつき、余計なお金が取られますので、古い薬で先発品とジェネリック医薬品の薬価が近い場合は、ジェネリック医薬品にすると逆に高くつくこともあります。
例えば、PL配合顆粒(サラザック)、ロキソニン(ロキソプロフェン)、ムコダイン(カルボシステイン)とかですね。
ほんの少しですが注意してみてもいいかも?
オーソライズドジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品との違い
日本語でいうと、許諾を受けたジェネリック医薬品になります。
「先発品を開発した製薬会社から許諾を得て製造した、原薬、添加物および製法等が先発品と同一のジェネリック医薬品」や、「特許使用の許可を得て、優先的に先行して販売できるジェネリック医薬品」のことを指します。
先行して販売できるというところに、販売会社の多大なる利点がありますね。
一言でいえば、オーソライズドジェネリックは同じジェネリック医薬品でも格が違うのです。
オーソライズドジェネリックはいわば先発品会社からお墨付きを得ている後発品になるので、信頼性は他の後発品の比ではありません(主観あり)
例えば第1三共エスファでは製造工場まで同一であり、もはや安いだけの先発品とすら言えますね。
そうであれば、オーソライズドジェネリックを使用してもデメリットはないと思います。
オーソライズドジェネリックのランクの違い
オーソライズドジェネリックにもランクがあります。
下記の通りAG1は名前が変わったものの、先発品と同じものととらえてよいでしょう。
AG2~3になるに従い、少しずつ先発品から遠ざかります。
それでもオーソライズドジェネリックというものは、ジェネリック医薬品の中でも信頼性は高いと言えるでしょう。
まとめ
今日はオーソライズドジェネリックについて見てきました。
同じ後発品でも結構な違いがあることがご理解頂けたでしょうか。
後発品の使用をためらう方でもオーソライズドジェネリックであれば、使ってみてもよいかと思います。
もし薬局でジェネリックにしますか?と聞かれたら
オーソライズドジェネリックをお願いします!なんて言ってみるのもありかもですね!
オーソライズドジェネリックのことを分からない薬剤師がいたら、ヤブなのでその薬局は見限ってもよいと思います。
ぜひご検討ください。
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