今日は先日ご紹介した「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」という本から、投資に関連すると思われるものをピックアップして、投資家向け(特にバイオベンチャー投資家)に私なりにアレンジしてみました。
2021年もバイオベンチャーは上に下に大忙しだと思います。
大事なお金を溶かさないように、今一度自身の投資のクセや心理を振り返るきっかけにしていただければと思います。
私のバイオベンチャーに対する投資スタンスやコツについては、以前記載しましたので、参考の項目をご参照ください。
Contents
ポジティブな情報しか受け入れない
信じたい情報だけを信じる
某所の掲示板を見ると、
そのベンチャーのパイプラインの将来性はとても素晴らしい!とか
この分野はブルーオーシャンで凄まじい業績が期待できる!!とか
赤字拡大は治験が上手くいっている証拠だから別にいい!とか
溢れんばかりの希望の光に満ちていて、目がつぶれそうになることもあるかと思います。
そんなところに、
何て言おうものなら、集中砲火にあってしまいますよね。
その銘柄に投資している人は、その銘柄の株価が上がってほしいわけです。(ショートは逆で考えてください。)
株価が上がるためにはポジティブな情報が欲しいわけです。
だから無意識のうちにポジティブな情報を受け入れるような心理状態に陥っているわけですね。
嫌な情報は否定の礎になる
ブーメラン効果と呼ばれる現象もあります。
自分の意見を否定されるような情報が提供されると、違った側面から全く新しい反論を思いつき、更にかたくなになるという効果です。
上記のパイプラインの陳腐化の例でいえば、
- パイプラインについてよく知らないくせにいきなりコメントしてくるなんて、業者に雇われているのではないか!とか
- 他社が取り組んでいなかったブルーオーシャンだから、この会社のが経験値が高い!とか
そんな感じでしょうか。
人の意見を聞かないばかりか、いちゃもんをつけるということです。
嫌な情報は見なかったことにする
なおここまで行かなくとも、人は自分の意見にそぐわない証拠を無視する傾向にあることが分かっています。
要はスルーするのです。
赤字拡大が続いていて、もう一回第3相するならば、ワラントしちゃわないかな?
なんて言っても、誰も耳を貸さずに、成功したときの売り上げについて議論を重ねていたりします。
他の素晴らしいワクチンが承認されて、出る幕ないよ?
何て言っても、耳を貸さずに国産ワクチンの必要性について説くこともあります。
人は自分の投資を支持する情報は重んじますが、自信を失わせる情報は軽視するのです。
自分はそんなことはない!!と思われる方もいるかと思いますが、そんな方こそ冷静になりましょう。
ポジティブな情報が集まるSNSの罠
SNSも注意が必要ですね。
バイオベンチャーに投資しようと思う時、その銘柄のポジティブな情報を発信している人を無意識にフォローしてしまいがちですが、その人の「思い入れ」には注意を払う必要があります。
情報は歪まなくても、その解釈に歪みが入る可能性もあります。
投資は自己責任だから、そんなものは分かっている!!
と思うかもしれませんが、自分の好きな銘柄をけなされているのを見た場合、恐らく好意的にtweetしている人よりもフォローを渋るはずです。
だって気持ちよくないですからね?
それが重なると、SNSは自分の意見に沿った心地よいものとなります。
ただこれが投資における情報の捉え方にバイアスをかける可能性を忘れてはなりません。
波に乗るために敢えて知識を犠牲にするか?
さて以前書いたように、日本のバイオベンチャーに投資するということは、夢を買うことと同義です。
その夢によって上がる株価の中で、上手に踊らなければなりません。
どんなに高騰しようが、不合理な株価になろうが、夢があれば上がるわけですね。
そしてみんなが夢を見ている中で、裏口からさっと逃げる必要があるわけです。
ここで問題となるのは、一緒に踊るために知識が邪魔する可能性があることです。
生半可な知識により、この会社の将来性は怪しいから投資はやめよう・・・
となると、せっかくのダンスの機会を失うかもしれません。
例えば2020年春頃のアンジェスとかね。
知識の代償は自分の信じたいことを信じる選択肢を失うということなのです。
一番は知識を得たうえで、危険性も踏まえたうえで投資をすることです。
しかしそれは非常に難しい。
自分の中の矛盾と毎日戦わねばなりませんからね。
ネガティブインパクトに過剰に反応する
乗りに乗っている銘柄でも、一度ネガティブな情報が出るとみんな脱兎のごとく逃げ出そうとして、出口でつぶれてぺしゃんこになっている様を見かけることがよくあります。
アキュセラやサンバイオ、去年で言えばサンバイオ(またか)やモダリスなんかですね。
人間はストレス下ではネガティブな情報に対して、非常にセンシティブとなることが分かっています。
普段のイケイケドンドンから、急に逆回転するわけですね。
もっとも、バイオに関してはその銘柄の夢を支えるものがなくなったら、満身創痍でも逃げ出す必要がありますが、そうでない場合は冷静に対処する必要があります。
例えばモダリスは綺麗に上場ゴールを決めてしまった形ですが、マイナスの内容はよくあることで、企業の夢を失うようなレベルのインパクトはありませんでした。
心証は最悪ですが、まだまだ投資の芽はあると思います。
まぁ私は先に逃げちゃっていたので、そーいうこといってよいかは分かりませんが。
一度負けると保守的になり負け続ける
丹念に銘柄を調べ上げた上で、あるバイオベンチャーに投資したとしても、
この業界、当然意図せぬところで大暴落に見舞われることがあります。
そうすると、次は失敗してはいけないと思い、保守的なところに投資してしまう傾向があります。
とまでは言いませんが、自分の得意としないところ、何となく安全そうなところに投資してしまい、何だかよく分からないうちに負けてしまうこともあり得ますね。
これは人はいったん脅威にさらされると、否定的なことばかりに目が向き、保守的になることに起因しています。
成績抜群の人が、何かミスってしまったら、そのまま崩れ落ちていってしまうさまを見たことがありませんか?
投資ではなく、会社でも部活でも。
ネガティブな感情や経験は、判断を鈍らせるのです。
ヒューリスティック、多数決は正しいか?
人は多数決が大好きです。
みんな賛成しているから正しい。
みんなやっているから大丈夫!
これは偏見かもしれませんが、日本人は特に好きですよね。
出る杭は打たれるなんて日本だからこそかもしれません。
この多数決になびく傾向は投資でも見られます。
みんなが推奨しているから、みんな買っているから買っちゃう!!
いわゆる「イナゴ」です。
だいたいにおいて、最後まで食いついているイナゴは焼かれて灰になるのがオチですね。
美味しくいただいて途中で飛び立てばよいのですが、みんなまだ食べているからとなかなか飛び立てないのですよね。
イナゴするのは良いのですが、飛び立つタイミングは決めておきましょうね。
人のせいにする
さてその銘柄を選んだのは紛れもない自分であるはずですが、失敗すると人のせいにする人がおります。
それは勧めた人であったり、情報を提供してくれた人だったり、その会社の社長だったり、他社の株主だったりと様々です。
ここに共通しているのは、自分の選択を「自分で選んだ」と思いたくないという心理です。
間違えちゃったって認めたら、自分が傷ついちゃいますからね。
資産がブレイクされたのに、ハートもブレイクされたらたまらない!というわけです。
愚か者め。
負けを認めることが次への布石となるのです。
歯を食いしばって負けを認めて、次に経験を活かせ!
資産を失ったのだから、せめて経験ぐらい得ておかないと、なーんにも残りませんよ?
まとめ
今日は脳科学の本を参考にバイオベンチャーに投資する人が陥りやすい心理について、私なりに解説してみました。
ちょっとSっけが出てしまった気がしますが、大丈夫ですか?(何が?)
なお、私は優しいお姉さんですので、お間違えなく!