こないだの製薬企業の社名の由来が、結構反響がありましたので、
今日はバイオベンチャーについて見てみましょう。
ほんとは名前の紹介だけにしようかと思ったのですが、概要かいていたら結構な量になってしまったので、今日は3つだけです。
バイオベンチャーの中でも比較的エリート(主観)な3社をご紹介しましょう。
Contents
オンコリスバイオファーマ
概要
オンコリスバイオファーマは「Virology(ウイルス学)に立脚した創薬」を事業のコンセプトとして、医薬品事業及び検査事業の両輪による企業活動を行っている会社です。
医薬品事業においては「がんと重症感染症」を対象に開発を進めています。
なんといっても有名なパイプラインはテロメライシン(OBP-301)でしょう。
以前どこかでご紹介したような気がしますが、テロメライシンは腫瘍溶解ウイルスです。
もう少し詳しく述べると、癌細胞で特異的に増殖し、癌細胞を破壊することができるように遺伝子改変された5型のアデノウイルスなのです。
テロメラーゼ活性の高い癌細胞で特異的に増殖することで癌細胞を溶解させる強い抗腫瘍活性を示す一方、
正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いということで、臨床的な安全性を保つことが期待されています。
現在も開発が進んでいる期待の持てるパイプラインと言えると思います。
社名の由来
さてそんなオンコリスさんの社名の由来は何でしょうか?
オンコリスという名前は、癌を溶かす(oncolysis)という意味の医学用語を基にした造語なのです。
「癌をやっつける薬を新たに作る」という想いが込められています。
オンコリシスが元なのですね。
オンコは知っていましたが、オンコリシスという単語だったのは知りませんでした。
看板であるテロメライシンを体現したステキな社名ですね!
今後も頑張ってくださいー!
モダリス
概要
モダリスはつい先日上場したばかりの新進気鋭のベンチャー企業です。
ノーベル化学賞を受賞したことで、更に有名となった遺伝子編集技術CRISPRを進化させ、
遺伝性遺伝子疾患に対して効率よくかつ有効な治療薬を生み出せる新しいプラットフォーム技術、
CRISPR-GNDMを構築したのです。
この技術により遺伝性遺伝子疾患を治療していこう!という理念を持った会社です。
ガンダムだって!
私はガンダムはあまり知らなかった・・・のですが、
昔、シミュレーションゲームが好きだと言ったら、先輩が貸してくれた某系譜(随分古いゲーム)をプレイしたら一通り覚えました。
原作は知りません。
取りあえずドムとズコックっていうのが強かった。
CRISPR Cas9
従前の遺伝子編集技術であるZFNやTALENといった方法では、DNA上の目的の場所に切断酵素を結合させるために、特定のDNAと結合するタンパク質の特定のユニットを複数数珠繋ぎにして用いています。
そのためZFN分子やTALEN分子をターゲットに合わせて作成するのが煩雑でした。
CRISPRでは、gRNA(ガイドRNA)という簡単に作成可能な部品が目的のDNAとペアを作って結合し、それを目印にCas9という切断酵素がその場所にやってきて切断を行います。
まさにガイドということです。
一方でゲノムを切断することはガン化のリスクを高めるという報告が出されていて、リスクを伴うことが示されています。
CRISPR-GNDM
モダリスはCRISPRで用いられる切断酵素、Cas9をエンジニアリングによって切断活性の無い(切らない)Cas9=dCas9に改変しました。
さらにそのdCas9にモジュレーターと呼ばれる遺伝子のスイッチを制御するタンパク質を連結し、スイッチを操作して目的の遺伝子の量を適切にコントロールできるようにしました。
GNDMはGuide-Nucleotide-Directed-Modulation(ガイド-核酸-誘導型-制御)の略なのです。
つまり、簡単に言うと「遺伝子を切らずともスイッチのオンオフをすることでタンパク質の発現を制御する技術」ということです。
遺伝子を切らずにタンパク質の発現を制御。
この技術の夢の大きさが分かりましたか?
私はモダリスには大変期待しています。
だからと言って株を持ち続けるかは別の話です。
(ドライ)
社名の由来
モダリスの社名の由来は「新しい創薬技術(modality)が、遺伝子治療薬を生み出す未来を目指して」付けられた名前です。
Modalityからとられていたのですね。
CRISPR-GNDMはまさに世界を変える新しい創薬技術、モダリティと言えるのかもしれませんね。
今後も頑張ってくださいー!!
そーせいヘプタレス
概要
そーせいは代表的なバイオベンチャーで、一時は株価99%減まで落ちこんだことがありますが、2005年に英アラキス、2015年に英ヘプタレスを買収し、見事復活を果たしました。
現在はG蛋白質共役受容体(GPCR)を標的とした創薬で多数の製薬大手と提携しています。
ノバルティスに導出したCOPD治療薬のシーブリとウルティブロが、毎年30億円のマイルストン収入を生み出しており、26年の特許期間満了までに次の稼ぎ柱を作ることが直近の目標ですね。
最近だとエナジアとかね。
黒字のバイオはなかなか珍しいですね。
薬の開発が難しいことは一般に知られています。
かつては低分子医薬品が開発の中心でしたが、近年は抗体医薬品をはじめとした高分子医薬品の開発が進められています。
しかしターゲットとなるたんぱく質が枯渇してきており、開発は難航しております。
そこでそーせいは高分子医薬品にこだわるのではなく、GPCRをターゲットとした低分子医薬品を開発しようとしています。
そーせいの得意とするGPCRには400種類程度のターゲットがあることが知られており、潜在的な標的蛋白質を掘り起こせる強みを持っています。
GPCRは開発中を含め全体の4割しか掘り起こされておらず、残りの6割は製薬企業の開発が手つかずになっていると言われています。つまりまだまだ開発余地は大きいということですね。
しかし、最大の看板シリーズであったMシリーズでずっこけてから、株価はあまり調子がよくありません。
まぁ、もうバイオベンチャーというか、製薬会社って感じのバリュエーションになるのかもしれませんが。
鈍い動きのバイオはあんまし面白くないなーなんて。
社名の由来(SOSEI)
さて、まずは前半部分のそーせいの名前の由来を見てみましょう。
なかなか深い意味があるのですよ。
唐突ですが、ちょっと歴史の時間です
明治維新における長州藩の活躍はみなさんもご存知ですよね?
明治維新前後に長州藩から多くの人材が輩出した背景には、藩主の毛利敬親(もうり・たかちか)の存在が大きく影響したと言われています。
毛利敬親は家督相続後、財政難だった藩を立て直し、軍政改革を実施して軍事の洋式化を推進し、文武を奨励して蘭学による教育を充実させるなどの革新を行いました。
そんな革新を行う中でも、家臣からの進言には何事にも「そうせい(やりたいようにやりなさい)」と言ったということから、陰では「そうせい侯」とも呼ばれていたのです。
もうお分かりですね?
この歴史上のエピソードにヒントを得て、「そーせい」と命名されたとのことです。
何事もやりたいようにやることで、革新をもたらしていこうということでしょうか。
薬の創製(そうせい)かと思っていましたが、そうせい(好きにやれ)!がおおもとなのですね。
ネタで使っている人を見ましたが、あれはむしろ正解だったのか。
余談ですがシャウエッセン見るとそーせいのことを思い出します。
あとロゴが「だんごさんきょうだい」みたいよね。
やりたいようにやるのは結構ですが、最近あまりいい話聞きませんね。
そーせいさん。
(氷の眼差し)
風呂敷広げるのは良いのですが、まずは手持ちの有望シリーズをしっかりとね?
まぁ、今はモダリスで遊んでいるので、私はもういいんだ。
Mシリーズ目覚めたら教えてね?
頑張って。
個人的にはMシリーズはやや厳しいかも・・・
社名の由来(HEPTARES)
と、話が終わりそうでしたが、後半部分を説明していませんでした。
「Heptares(ヘプタレス)」という社名はギリシャ語の「7」(hepta)に由来し、細胞膜を7回貫通するGタンパク質共役受容体(GPCR)に共通する構造特性に関連付けて、「Heptares」と命名されています。
GPCRはそーせいの得意とするところ。
名前に入れるには絶好の内容ですね!
・・・得意なら結果も出してね?
まとめ
今日は個人的に有望なバイオベンチャーの概要や名前の由来に迫ってみました。
どこも癖のある銘柄ですので、有望だからと飛びつくと、痛い目見る可能性が高いです。
バイオベンチャーに投資する際は、下記の記事も参考に、慎重かつ大胆なハンドリングを心掛けましょう。
もちろん、信じて持ち続けるのも一つの方法ですね。
その愛が通じるかは神のみぞ知る。
ファイザーさんのワクチンは日本でも手堅く決めてきます。
国内P1/2の160名にグローバルP2/3の44,000人をブリッジングしてくるのです。
国内で数百人規模のP3で遊んでいる場合ではありません。
それもまだですけどね。
と、いつもの煽りを入れて記事を締めます。
参考:バイオベンチャーの取り扱い方