最近、このブログでも開発化合物の臨床試験に関する情報をピックアップすることがよくあります。
臨床試験の情報は製薬企業やバイオベンチャーの株を購入する際に確認しておくべき情報の一つですね。
その開発化合物がどの疾患を対象として、どんな目的(ゴール)のために治験が実施されるのか。
いまどんな状況で、いつ頃試験が終了しそうなのかも重要な情報です。
これらを踏まえてその化合物がどのような流れでいつ頃市場に出てくるのか、いつ売り上げに貢献して、いつ利益に上がってくるのかを確認していくことが、銘柄選択の重要なファクターとなるのです。
最近で言えば、COVID-19に対するお薬の開発状況を自分で調べてみたい方もおられるかもしれません。
さて、そんな臨床試験情報ですが、読者のみなさんはどこから集めていますか?
企業IRや論文、学会発表、Yahoo掲示板等、様々なところに情報が転がっていると思います。
今日は最近話題に上げていたアメリカの有名なデータベースをご紹介しようと思います。
あ、その前に一応日本のものを紹介しておきます。
Contents
JAPIC clinical trials information(日本)
リンク:臨床試験情報検索画面 | 一般財団法人日本医薬情報センター 臨床試験情報
※先日リンクが変わりました。つながらないない場合は「JAPIC」などで検索ください。
こちらはJAPICのまとめている医薬品等に関する臨床試験情報を収録したデータベースです。
日本語入力なので、見たままに必要な情報を入力すれば問題ありません。
不明なところ(分からないところ)は空欄でも検索できます。
なんでこんな雑な扱いかというと、このデータベースは検索しにくくて、情報も少なくて、私はあまり好きではないからです。
ですので、こちらはどうしても日本語で検索したい時だけ使用することをお勧めします。
ClinicalTrials.gov(アメリカ)
概要
・リンク:Home – ClinicalTrials.gov
次にアメリカNIHの運営しているデータベース「ClinicalTrials.gov」をご紹介致します。
このデータベースは、臨床試験を集約した最大のデータベースであり、世界200カ国以上の国から30万件以上の臨床試験が登録されています。
やっぱアメリカは違いますね!
では昔ご紹介したエーザイのアルツハイマー型認知症治療薬の臨床試験を調べてみましょう。
「Condition or disease」にアルツハイマー型認知症、「other terms」に試験名を入力してみました。
新型コロナウイルスについて調べたいのであれば、diseaseにCOVID-19などと入力すればおっけーです。
すると一番上に求めていたアデュカヌマブの試験情報が出てきましたね。
この試験は終了しているのでTerminatedと記載されています。こちらのStudy titleをクリックしてみましょう。
すると試験の詳細情報が表示されます。
各項目の簡単な解説
それぞれの項目を簡単にご説明いたします。
Study Description
試験の概要が記載されています。
Study Design
試験のデザインの要約が記載されています。
患者数や試験の相、開始時期、終了時期を確認できます。
この試験では1638名もの患者さんが参加していたのですねー。ふむふむ。
Arms and Interventions
各群の詳細を確認できます。
Outcome Measures
主要評価項目、副次評価項目を確認できます。
本薬剤の場合、主要評価項目はCDR-SB scoreのベースラインからの変化量ですね。
これでプラセボと比較して統計学的に有意な結果を出せれば、勝ちというわけです。
余談ですがこのような「評価スケール」は血液検査と違って、Dr.や患者ごとにぶれるため、いかに評価を統一させるかが試験成功のカギとなります。
サンバイオもこのあたりちゃんとしていれば成功していたかもしれません。
数値でびばっと決まれば簡単なんですけどねー。
Eligibility Criteria
選択除外基準(どんな患者が治験に参加できるか)が確認できます。
Inclusionが選択基準、Exclusionが除外基準です。
選択基準というのは、試験に入るための条件、除外基準というのは抵触していると試験に入れなくなる条件のことです。
この試験では50歳から85歳が対象だったようです。確かに高齢すぎると認知症の治療は難しくなるので納得できるところです。
面白いのは50歳からにしているところですね。この薬は発症初期も狙っていることが分かります。
Contacts and Locations
治験依頼者や治験に参加している医療機関の情報が確認できます。
医療機関の情報が分かるのも面白いですね。
ここがJAPICと大きく違うところでもあります。
日本で実施されている治験の場合は、お近くの病院やクリニックで治験を実施しているか確認してみるのも手ですね。
ちなみに後日紹介予定のレムデシビルの日本での治験実施施設を調べると下記のとおりであることが分かります。
Japan | |
Yokohama Municipal Citizen’s Hospital | Recruiting |
Kanagawa, Japan, 240-8555 | |
Nagoya City Easter Medical Center | Recruiting |
Nagoya, Japan, 464-8547 | |
Tokyo Metropolitan Bokutoh Hospital | Recruiting |
Tokyo, Japan, 130-8575 |
リクルート中ということは、治験参加患者さんを募集しているということですね!
まとめ
以上ごく簡単ですが、まとめてみました。
今回は終了した試験の情報ですが、実施中の試験の情報も記載されます。
ただし完全ではありませんし、更新頻度も各社異なる点は注意です。
私は仕事柄、よくチェックしていますが、投資家界隈ではなかなか穴場な情報のような気もしますし、IR等と併せて投資戦略の一つに組み込んでみてはいかがでしょうか。
慣れるとIRが出る時期が予測できますしね。
ただしそのIRの中身が素晴らしいかどうかは神のみぞ知るといったところです(笑)
神さま、たまには先に教えてくれてもいいのよ?