コロナウイルスの治療薬の開発については、ちらほら報道がありますが、今日は抗ウイルス薬に強いギリアド社の動きを中心に、ご紹介致します。
ギリアドはC型肝炎の治療薬に革命を起こした会社であり、HIV治療薬も出しています。
ウイルスとの戦いにおいては、世界トップクラスの企業といっても過言ではないでしょう。
サノフィさんとか他の企業も続々と開発に向けて動いていますが、ギリアドは本命だと思います!
そのギリアドですが、レムデシビル(Remdesivir)という未承認の薬剤を持っており、これがコロナの特効薬となるかもしれないと考えられています。
なおシクレソニドについては、まとめ手前部分に所感を記載しています。
コロナさん、調子に乗っているようですが、そろそろ人類も激おこですよ?覚悟せよ!!
要約
・ギリアドの抗ウイルス薬レムデシビルは対コロナの本命
・最短2020年4月に中国の医師主導治験が終了予定
・ギリアドによる国際共同第3相治験が開始
・シクレソニドは抗ウイルス薬ではなく、吸入ステロイド
・シクレソニドが特効薬になるか判断するのは時期尚早
レムデシビルについて
レムデシビルはまだどの疾患に対しても適応を取得していない未承認の薬です。
当初は、なんとあのエボラ出血熱の治療薬として進められてきた薬剤になります。
ただしそちらでは有意差は出せませんでした。
でもおかげで安全性については、ヒトである程度確認が取れているということです。
レムデシビルはプロドラッグですので、体内で代謝されて活性体となります。
その活性体がRNAポリメラーゼを阻害することで、ウイルスの増殖を防ぐとされています。
ただしギリアドの正式回答ではありません。
RNAはいわばウイルスの設計図。
ポリメラーゼはその設計図を複製する酵素です。
この薬はウイルスを駆逐するというよりかは、増殖を防ぐ薬ということですね。
臨床試験について
データベースからの確認
さて、では実際に行われている臨床試験について見てみましょう。
このような臨床試験に関する情報は報道でもちらほら出ていますが、詳しい情報を知りたければ、ClinicalTrials.gov(アメリカ:NIH)を自分で見るとよいです。
・リンク https://clinicaltrials.gov/
このデータベースは、NIHの運営している臨床試験を集約した最大のデータベースであり、世界200カ国以上の国から30万件以上の臨床試験が登録されています。
やっぱアメリカは違いますね!使い方等はまたいつか取り上げたいと思います。
とりあえず、CoditionsにCOVID-19と入力すればたくさん試験が出てきますよ。
他の薬剤も含めて、現在(2020/3/3)のところ59の臨床試験が登録されていますね。
日本用のデータベースもありますけど、検索しにくくて私はきらい。
それでは今回の主役、レムデシビル(Remdesivir)の臨床試験を見てみます。
COVID-19/ Remdesivirで検索してみましょう。
すると下記の3つの臨床試験が出てきました(2020/3/3現在)
RCTとはランダム化比較試験(Randomized controlled trial)のことです。
要は無作為に割り付けをして、バイアスを減らす試験ですね。
原文見れば、選択除外基準なども詳しく書いてありますよ。
ここにはギリアドの臨床試験はまだ載っていませんね。
COVID-19に対する臨床試験は上記の通り既に進んでいるものもあります。
最短で4月中に終了となる予定の試験もありますね!
一番下のアメリカNIHが主導している臨床試験については、日本人も参加する可能性があるとのことです。
ギリアド社の臨床試験
今回、ギリアドが開始する試験は、COVID-19を対象にしたレムデシビルのグローバルP3試験(国際共同第3相治験)です。
国際共同治験とは単一の国での試験ではなく、多数の国で行われる臨床試験です。
3月以降に重度患者(400名)と中等度患者(600名)に対する2本のP3試験を実施し、感染患者の多いアジアを中心として、世界中から約1,000例の患者を組み入れる予定とのことです。
この試験にも日本人が組み入れられる可能性があります。
ギリアド社の過去の功績
以前記事にしましたが、ギリアド社はソバルディーやハーボニーといった、C型肝炎の特効薬と言って過言ではない薬剤を開発し、C型肝炎治療に革命を起こした会社です。
患者が少なくなることで薬の売り上げが減少するという、素晴らしい流れを築き上げました。
今回のコロナ騒動でも活躍を期待しております。
参考:C型肝炎治療薬の革命
おまけ:シクレソニド(商品名:オルベスコ)
巷で話題のシクレソニドは吸入ステロイドであり、抗ウイルス薬ではありません。
しかし報告を読む限りは、国立感染症研究所にて抗ウイルス作用が認められたとのことです。
それが実臨床で結果を裏付けたと言うことですね。
吸入ステロイドってことで、ただ局所の炎症を抑えただけじゃなかったのかな?
(吸入ステロイドはほぼ体循環には乗りません)
他のステロイドはどうなのかな?
シクレソニド特異的な作用なの?
なら作用機序はどうなのか?
プラセボ入れるわけにもいかないけど、自然治癒等の影響はどうなのかな?
他の併用療法の効果では?
重症度と効果に関連はあるのか?
発症からの日数と投与日の関係は?
など、この程度の例数の症例報告では、まだ何とも言えませんね。
この報告は症例報告なので、事実として受け止めますが、シクレソニドが特効薬になりえるかはまだ議論が必要です。
薬の効果を正確に評価するのは緻密な臨床試験が必要です。
数例で効果が認められたからと言って、それは偶然の範疇かもしれませんし、大規模に使用して、致命的なことになる可能性もありえます。
まあ、ただの吸入ステロイドであり、通常診療において使用実績もたくさんあるので、その点はあまり問題ないでしょうけどね。
緊急時ですので、臨機応変に対応していきたいところです。
取り合えず今後の症例集積に期待ですね!
なお現状、帝人に飛び付くのは危険だと思います。
短期で遊ぶには良いかもしれませんけどね。
私は買う気皆無です。
まとめ
今日はギリアド社の対コロナウイルス治療薬の開発を中心に、見てきました。
コロナウイルスは世界あちこちに広がってしまいました。
ウイルスですので季節が廻れば駆逐される可能性はありますが、もはや隔離だけでは短期間で収束できないでしょう。
必要なのはレムデシビルにしろ、シクレソニドにしろ、「ちゃんとした治療薬」ということです。
「あおさなどとは次元の違うレベル」の話なのです。
意味のない基礎研究はないと述べたことがありますが、研究のクオリティはまた別のお話です。
治療薬の迅速な開発と流通のために、行政は体制を整えて頂ければと思います。
いずれにせよ人類の力でコロナウイルスの感染拡大を収束していけると私は信じています。
私はメガテンではまずNeutralに行きますので、特にそう思います。
ちなみに株価暴落時の個人的BGMはメガテンSJのメムアレフ戦ですね
(BGM名:盾を取り、槍を高くかざせ)
みなさんも、有休時に暴落がありそうな時は、AM9:00からのバックミュージックにどうぞ!
雑記
ここ数日の株価は上に下に大騒ぎですね。(主に下)
こういうボラリティーの大きい相場では無理に流れに乗ろうとしないほうが無難です。
昨日なんて、ダウ+1300円弱の流れで朝方の全面特買いからの、あのありさま・・・
そして今日は・・・普通ね。KDDIは頑張った。いい子だよ。
ベルトなしのジェットコースター。
しっかり掴まっていきましょ。
「最近忙しくなってきた」とか言っている割には、記事更新頻度がむしろ上がっていますが、外勤時以外、原則在宅勤務となったためです。
通勤時間なくなると、時間が空きますね!
コロナは働き方改革を強力に推進しているともいえるかもしれません。
日本人は痛みがないと動けないのかも?