みなさんは片頭痛で悩まれたことはありませんか?
私は学生の時に病気で手術して以来、軽い片頭痛とお付き合いしています。
私ぐらいの程度であれば、さして日常生活に影響することはないのでよいのですが、ストレスの多い現代社会において、この「片頭痛」に悩んでいる方は結構な数おられるのです。
今日はその片頭痛に関する新薬の臨床試験のお話をしたいと思います。
ちなみに塩野義のセデスはただの鎮痛薬であり、片頭痛に特化したお薬ではありません。
片頭痛とは?
片頭痛は有病率の高い神経疾患で、国内では、約840万人の患者さんがいるといわれており、特に最も片頭痛有病率の高い30歳代女性の有病率は約20%に達すると言われております。
割と身近な神経疾患ですね。
片頭痛の薬物治療には急性期治療(トリプタン等)と予防療法がありますが、予防療法における画期的な薬剤はなく、開発が望まれている状況でした。
片頭痛の機序は明確には分かっていませんが、「三叉神経血管説」が有力な仮説の一つです。
何らかの刺激で頭の内部の血管に分布する神経が刺激されると、血管が拡張することで炎症が引き起こされ、炎症反応が次々に血管を広がっていきます。
この刺激による興奮が脳に伝えられて片頭痛等の症状が発現すると考えられています。
「刺激→血管拡張→炎症→頭痛」の流れですね。
原因となる物質としては神経伝達物質のセロトニンや、血管拡張性物質である CGRP(calcitonin generelated peptide:カルシトニン遺伝子関連ペプチド) が考えられています。
急性期治療に用いられるトリプタンはこのうち、セロトニンの働きを抑える薬ですね。もう一方の原因であるCGRPに着目したものが、今回取り上げるフレマネズマブになります。
フレマネズマブとは?
フレマネズマブは大塚製薬がイスラエルのテバ社より導入した抗CGRPモノクローナル抗体の皮下注射剤です。
その名の通り抗体製剤ですので、経口投与(飲み薬)はできません。
血管拡張性物質CGRPの抗体ですので、文字通りCGRPの働きを抑えて、血管拡張を防止し、頭痛を予防するというわけですね。シンプルでいいですね。
臨床試験の概要と結果の要約
国内第2/3相試験は2試験実施されております
1.NCT03303079
慢性片頭痛患者さんを対象に予防的治療を目的とした、プラセボ対照の試験です。
主要評価項目は、ベースラインから治験薬初回投与後12週間での1ヵ月あたりの中等度以上の頭痛日数の平均変化量を用いています。
2.NCT03303092
反復性片頭痛患者さんを対象に予防的治療を目的とした、プラセボ対照試験です
主要評価項目は、ベースラインから治験薬初回投与後12週間での1ヵ月あたりの片頭痛日数の平均変化量を用いています。
いずれの試験においても統計学的な有意差をもって主要評価項目を達成し、安全性についても大きな問題はみられませんでした。
試験結果としては満足いくものであり、成功と言って差し支えないでしょう。詳細な解析結果は今後報告される予定です。
今後とまとめ
今日は新規カテゴリーの片頭痛予防薬フレマネズマブについて考えてきました。
片頭痛治療薬の市場は広く、上市されれば売り上げに貢献できる有望な薬であることは間違いありませんが、この系統の薬剤は現在かなりライバルがいます。国内外を問わず、ファーストインクラスの薬剤は大きなアドバンテージを得ることができる一方、出遅れるとダメージは大きいです。
また抗体製剤ということで薬価もある程度高くなることが想定されます。皮下注射ということで利便性が低い点も懸念はあります。費用対効果を鑑みて、どの程度の評価が下されるかはまだ分かりません。
いずれにしても、画期的な薬剤がなかった片頭痛予防薬の分野に、新たな薬剤が登場することは喜ばしいことですね。
片頭痛って、生命の危険があるような疾患ではないですが、QOLを強く害する疾患であると思います。
大塚さんはCNS領域が得意ですので、これからも期待しています。
大塚さん頑張って!
雑記
先週から、1月に登録していて放置していたTwitterを稼働させてみました。
はてな内でもTwitterやられている方が多かったので、前よりちょっと緊張しないで済みました(笑)
Twitterの文化はおろか用語すら理解していませんが、登録してくださった方、どうぞよろしくお願いいたします!
いや、しかし、自動売買でどうのこうのとか、結構飛んでくるんですね!びっくり。
しかもみんな同じような文面で。
そんなにカモに見えるのかな?
私、もしそんな稼げたら、だぁれにも教えなーい!
(心が狭い)