最近重いネタが続いておりますので、今日は軽いネタをということで、久々にお薬の名前の由来をご紹介しましょう。
今日は比較的最近(2020-2021年)に承認された新薬の中から何個かピックアップしてご紹介致します!
今年も半年過ぎてしまいましたね・・・
月日が経つのは早いものです。
いつもの記事と違い、本当に軽いのであまり面食らわないようにご注意ください。
ヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)
まず初めはバイエルの抗癌剤、ヴァイトラックビです。
最後のビ!の主張がかなり強く、インパクトあるお名前ですね。
ん?切るところが違うのか?
バイト・楽・クビみたいな切り方がいいですかね?
流行りの不適切動画挙げた人の末路みたいになりました。
一般名はラロトレクチニブといいます。
アメリカLoxo Oncology社により開発された、トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)に対する阻害剤であり、標的以外のキナーゼの阻害を回避するように設計されているお薬です。
TRKは、増殖因子ファミリーである神経栄養因子と結合することにより、細胞内にシグナルを伝達し、神経細胞の分化及び生存維持、生理的機能の発現に関わっています。
TRKA、TRKB及びTRKCタンパク質をそれぞれコードする神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子と他の遺伝子の融合が起こると、
TRK融合タンパクが生じ、恒常的にTRKキナーゼ及び下流のシグナル伝達経路が活性化され、腫瘍細胞の増殖及び生存延長が促進されます。
NTRK融合遺伝子はドライバー遺伝子の一つと考えられており、NTRK 融合遺伝子陽性患者に対しては、TRKキナーゼを阻害する治療が有効であると考えられるわけです。
雑にまとめると、この薬剤のKeyとなるのはトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)というわけです。
これを踏まえて名前の由来を見てみましょう!
ヴァイトラックビの名前の由来は、
「Vitality(活力)+ TRK(標的キナーゼ)」です。
患者さんに活力を与えるという思いに加えて、薬剤の標的であるTRKをくっつけて、ヴァイタリティ+RKというわけですね!
ん?やっぱりビ!はいらなくない?
どっからきた?
Vitalityに戻ったのか?
まぁビ!がないとくしゃみ我慢しているみたいになりますので、
ビっ!と放出してもらったほうが良いのかもしれません。
ダラキューロ(ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ)
続きましてダラキューロをご紹介します。
ダラキューロはヤンセンのお薬になります。
ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファ(rHuPH20)を配合した、皮下投与製剤です。
なっが。
ダラツムマブは、ヒト型免疫グロブリン(Ig)G1κモノクローナル抗体であり、多発性骨髄腫を含む造血器悪性腫瘍の腫瘍細胞表面に発現するCD38抗原に結合することにより作用を発揮します。
ダラツムマブは、再発又は難治性並びに未治療の多発性骨髄腫患者に対して複数の治療レジメンで使用されていますが、
投与に伴うInfusion Reaction(IRR)が報告されており、IRRを予防するために、投与に際し500〜1,000mLもの多量の輸液と、3〜7時間の長い投与時間を必要としています。
そのため、ダラツムマブの投与時の患者及び医療従事者の負担を軽減するため、皮下投与製剤としてダラツムマブとrHuPH20を配合したダラキューロが開発されたのです!
ダラキューロ、何だか強さの中にも可愛さのあるお名前ですね。
医療現場ではなんて呼ばれるのでしょうか?
だらきゅー!とかだとキュートな感じですね。
そんなダラキューロの名前の由来ですが、ちゃんとしています。
点滴静注製剤ダラザレックス®[DARZ ALEX®]の有効成分であるダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)[Vorhyaluronidase Alfa]を配合した皮下投与製剤(subcutaneous)であることより、ダラキューロ(DARZQURO)としたのです。
すごく意味のあるお名前だったのですね。
しかし、こう、何というか、
DARZはいいでしょう。
残りのroとcu控えめ過ぎない?
もう少し取って上げてもよかったのではないか?
DARZ roni cutan
うーん、キュートさはなくなってしまいましたね。
ダラキューロのが素敵でした。
アキャルックス(セツキシマブ サロタロカンナトリウム)
最後に楽天メディカルのアキャルックスをご紹介しましょう。
こちらは先駆け審査指定された医薬品候補を紹介する記事の中で取り上げましたので、作用機序などはそちらをご覧ください。
簡単にいうと、抗体で標的部位に狙いをつけて、レーザーで焼く!というお薬?というか治療法です。
光免疫療法という治療法になります。
胡散臭い名前の治療法ですが、ちゃんとした治療法です。
まぁ、この医薬品の承認ついては思うところもあるのですが、それはまた別の機会に。
一般名はセツキシマブ サロタロカンナトリウムです。
セツキシマブが抗体であり、光免疫療法においては、癌に引っ掛けるフックのような働きをするのですね。
このアキャルックス。
名前が発表されたときは私も由来を想像してtweetしたのですよ。
光免疫療法ということで、明るくする!
あきゃるくする。
あきゃるっくすwww
と私は考えて、tweetするという暴挙に出たのです。
しかしすぐに知的でスマートなリプがつきました
Anti Cancer by Luxではないか?と
光によって癌をやっつける、と。
もうこれ以上ないくらい決まっていますね。
作用機序、そして光というKey Wordの全てを盛り込んだ素敵な由来です。
楽天メディカルをなめていました。
本当に申し訳ございません。
あと私のセンスがなくて、何だか古臭いオヤジギャグみたいで、
実に恥ずかしいとtweetした手が震えたのでした。
まじちょべりば。
やばたにえん。
では、実際はどんな由来だったのでしょうか?
答え合わせです。
患者に希望の光「アカリ(明かり)」をもたらすという願いと、光の強さの単位である「ルクス」を組み合わせた造語
でアキャルックスと命名した。
アンチキャンサーはどうした?
楽天メディカルのセンスは私にそこそこ似ていた、というオチでした。
ただ明るくする、のではなくて「患者さんの希望の光」なのですね。
そう考えると私のくだらないダジャレより思いの深い、素敵な由来と言えるのではないでしょうか?
ちなみにもともとはアカルックスでしたが、似た名前の薬があり、取り違えのリスクを避けるために、命名変更しているのです。
何だろう?
アカルボースとかかな?
こんな記事書いていますが、私は臨床現場に詳しいわけではなく、この辺の感覚は全くありません。
あとがき
今日は最近承認された新薬の作用機序や名前の由来についてみてみました。
各社なかなか思いが込められていて面白いですね。
これまでのものは下記にまとめています。
そして久々に雑で適当な記事を書きました。
Twitterのほうはお陰様でフォロワーさんも6,000人くらいまで増え、真面目な医療ニュースネタやCOVID-19関連でフォローしてくださっている方が多いと想定されることを踏まえると、
あんまりくだらないこと言えない感じになっています。
アンジェス成分ですら控えめであります。
一部の方には物足りないかもしれません。
その点ブログはドア開けているとはいえ、完全なるホームグラウンドではありますので、自由に書けていいですね。
固い内容を期待されている方は読まないでしょうし、そこは住み分けできているということで!
PVについてはこーいうくだらないネタのが高いこともりますが、真面目な記事は検索踏まえて、後から伸びてくることも多いので、単純に比較できませんね。
昔アンケート取ったら、どっちも許容するという意見が多くて、安心した覚えがあります。
いずれにせよ、たまに今回のような程度の低い記事も上げますのでご了承くださいませ。