今日は製薬会社やバイオベンチャーのパイプラインを3つ紹介させて頂きます。
対象疾患や医薬品候補化合物の特徴を把握して、今後の投資の一助になりましたら幸いです。
なお、本記事で紹介するパイプラインを有する会社の株購入を推奨するものではありませんので、ご注意ください。
パイプラインがいかに有望でも、こけて瀕死の重傷を負うことが多いですからね。
特にバイオベンチャーは注意です!
長期的な視点で株価を見るのであれば、そのパイプラインの市場規模や売り上げについても推測しておく必要があります。
もっとも、バイオの株価はファンダメンタルを無視して上に下に大忙しなわけなので、短期的にはそんなものは気にしなくてよいでしょうね。
・参考:薬の価値と売り上げ予測
「まだ上がる!まだ上がる!!まだ上がる!!!これで億万長者だー。からのストップ安連発、阿鼻叫喚・・・」
これを何度も見てきました。
アキュセラとかサンバイオとか・・・
他人事ながら胃が痛くなります。
バイオベンチャーで博打打つなら引き際が肝心です。
バルクとして、何個かポートフォリオに加えておくという、宝くじ的楽しみ方もありますけどね。
「バイオは噴き上げたら売る」がマイルールなのだ!
パイプライン紹介
レルゴリクス(大日本住友)
以前ご紹介した過活動膀胱治療薬ビベグロンと同様に、イギリスのロイバント社から導入した化合物です。
実は起源は武田薬品工業になります。
変な縁ですね(笑)
レルゴリクスは子宮筋腫や子宮内膜症、前立腺がん等をターゲットとして開発を進めている飲み薬です。
作用機序は低分⼦GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体拮抗薬になります。
要は性ホルモンを抑制する薬剤ということですね。
そのため女性疾患にも男性疾患にも効果がある薬剤になります。
こちらもビベグロンと同様に、今後の大日本住友さんの主力となりうる化合物ですので、同社としても力を入れて開発を進めているようです。
最新の情報が入りましたら、別途記事にしてみたいと思います。(たぶんそろそろかな?)
・参考:ビベグロンの紹介
・参考:大日本住友製薬 2020年01月30日 2020年3月期 第3四半期決算カンファレンスコール
S-812217(SAGE-217)(塩野義)
S-812217は大うつ病に強力な効果かつ即効性のある飲み薬です。
作用機序はGABA受容体のポジティブアロステリックモデュレーターになります。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬に抑うつ効果を加えたイメージでしょうか。
2018年6月にアメリカのセージ・セラピューティクス社から導入して、開発を進めているようです。
この薬が承認されれば、大うつ病の治療を根底からひっくり返す画期的新薬になりそうだと考えていました(過去形)
2019年のIRに記載されているP2の結果は素晴らしかったのですが、昨年末にセージ・セラピューティクス社がリリースしたP3結果が良くなかったので、ちょっと先行き心配。
ちなみにこの日セージ社の株価は半分以下になりました。
ストップ安って意外と重要なシステムかも。
狼狽しがちな日本人には特にね。
ちなみにこの日、塩野義さんの株価はスルーでしたね。
それより最近はゾフルーザ騒ぎのほうが影響大きいかな。
それとも塩野義からのリリースがないから反応していないだけかも?
・参考:塩野義製薬 SAGE-Shionogiコラボレーションの意義(2019年2月5日)
・参考:セージ社のプレスリリース
SB623(サンバイオ)
まーたサンバイオですか?と言われそうですね。
最近また急落しているみたいです。
「この株は買えない」とか「治験失敗した」とか「見捨てられた」とか散々言っていますけど、サンバイオは好きなんですよ。
脳梗塞というチャレンジングな分野を切り開いていこうとする気概は買うべきかと思います!
…気概はね。(またディスる)
SB623は再生細胞医薬品です。
承認されれば通常の医薬品の区分ではなく「再生医療等製品の取り扱い」になりますね。
サンバイオによると神経細胞や血管を作る、神経細胞を守り、炎症を抑えるという複合的な作用機序(と言えるのかな?)を持つとのことです。
実際にどのような働きで効果を及ぼしているかは明確には述べられていません。
他家由来の細胞を用いるため、量産化については容易とサンバイオは主張しています。
自家と他家では、他家のが容易で、時間やコストがかからないのは分かりますが、本当にこのSB623の量産化が容易になるかは、今後の体制構築次第ですね。
まだ現段階では机上の空論と言えるでしょう。
脳梗塞に対する根治的治療を目指しておりますが、慢性脳梗塞の治験は失敗し、スポンサーの大日本住友製薬からは契約を切られ、苦しい状況が続いております。
色々と大変な状況は続いていますが、根治的治療のない脳梗塞に新たな治療法がもたらされれば、非常に大きなインパクトがあります。
大手製薬メーカーの踏み込まない(踏み込めない)領域であるからこそ、サンバイオには頑張って頂きたいと思います!
過去に個別で取り上げていますので、そちらもご参照ください。
・参考:サンバイオの紹介
まとめ
今日は3社の3つのパイプラインを取り上げてみました。
ご興味のあるものはありましたか?
ちなみにこれらを選択した基準はいつもの「何となく気になったから」です。
まだ気になるパイプラインはたくさんありますので、機会がありましたらまとめてみたいと思います。
雑記
朝の特買いはすごかったですね。朝は。
うーん!暴落後に訪れるリバウンドはたまりませんよね!!
あー、この感じ。暴落からのフォローに必要以上に喜ぶこの感じ。
これが悪い彼氏にたまに優しくされて依存する人の気持ちなのかも。
「だって、あの人、優しいときもあるから‥」なんて。
元値に戻ってすらいないのに、激リバすると何だか得した気分になるのです。
いや、結果的にはやられてるのにね?
わ、私はそんなまやかしにはやられないタイプですよ?
だいたい結局今日だってさ、終わりはマイナスだったじゃない?
朝からあれだけなでなでしてきたくせに、何てやつだ。
悪いやつは悪いんだ。
(ちゃっかりダブルインバで小銭稼ぎながら言う)