コロナショックを機に株式投資を始められた方は、アンジェスをNISAで買われた方が多いとか。
勇気があるというか、無謀というか、蛮勇というかは分かりませんが、上手く利確して儲けられていることを祈ります。
この初心者が新興バイオに群がり、その後の業火で焼き尽くされる流れは、過去に多く見られています。
そーせいのように花開く企業もありますが、たいていの噴き上げた新興バイオは、焼き尽くされて灰になるケースが多いのです。
今日は2018年〜2019年にかけて起きた、新興バイオの歴史にも残る、サンバイオの株価の推移と当時のIRを振り返って見てみましょう。
アンジェスがいずれ二の舞を踏むことは確。。。ふ、踏むとは限りませんが、ご存知のない方は頭に入れておくべき知識です(警告)
むしろサンバイオの顛末を知らずにバイオを触っているのであれば危険というほかありません。
バイオ株取引の必修項目と言えます!
サンバイオの概要
サンバイオはバイオベンチャー企業です。
「SB623」という外傷性脳損傷、慢性脳梗塞に対する再生医療等製品をパイプラインに持ち、有効な治療法がない脳梗塞に対する画期的な新薬を出すことで大きく飛躍できるのではないか、
と考えられている(いた)企業です。
いわゆる赤字バイオで、パイプラインが花開くことを夢見て、邁進する典型的な新興バイオと言えるでしょう。
むしろ私の分類では「信仰バイオ」かな。
再生医療・・・
有効な治療法がない脳梗塞の治療・・・
夢がありますよね!
そんな夢に投資家は引き寄せられていたのです。
その夢が「ナイトメアだった」のを知らずに。
IRが火をつけて3連続ストップ高
一部投資家の期待を集めて3,000~4,000円くらいで推移していたサンバイオに事件が起こります。
時は2018年11月1日。
ステキなIRが投資家に火をつけました。
外傷性脳損傷の治験で主要評価項目達成!!
「SB623 を投与した群は、コントロール群と比較して、統計学的に有意な運動機能の改善を認め、主要評価項目を達成しました」と。
この件をきっかけに、サンバイオは一躍マザーズの星となりました。
次の日からサンバイオは驚異の3連続ストップ高を演じ、翌営業日の11月7日には7,000円を超える株価がついたのです。
あれこれ言っていますが、実はサンバイオ、私も持っていたことがあります。
しかしこのタイミングで手放しました。
外傷性脳損傷で成功しても、大した売り上げはなく、この実力にそぐわぬ株価に違和感を覚えたためです。
しかし、私の違和感など関係なしに、その後も株価は上がり続け、翌年2019年1月9日には1万円を突破するのです。
もはや時価総額5000億円を超え、無敵のありさまでした。
はい、私はそんなはずはない、こんな企業がおかしいと思いながらも売ったことを後悔していましたよ。
なんせ私が売ってから数か月で3,000円も上がったのですからね。
赤字バイオがですよ?
そんなことあり得るかと思いますか?
当時のYahoo掲示板では、反対意見を記載すればふるぼっこにあいましたね。
私も1度警告したことあるのですよ。
まぁ相手にされませんでしたけど。
あの熱狂的な雰囲気。
買わないやつは株をやめろとでも言いたげな、異常な雰囲気。
さていつまで持つかな?と思っていた矢先でした。
はい、火が付いたのは投資家の心ではなく、おしりだったのですね。
更に煽るIR
時は2019年1月28日。
投資家を期待させるIRが出ました。
「平成 31 年1月期連結業績予想の修正に関するお知らせ 」です。
大したことのない内容です。
だって赤字バイオですからね?
決算見てもしょうがないのです。
だって赤字なのですからね?
赤字が拡大していたら、頑張って開発しているからだと褒められるのです。
赤字が縮小していたら、これは黒字化目前だと褒められるのです。
そんな雰囲気の中、「米国における慢性期脳梗塞フェーズ2b臨床試験及び日米で実施している外傷性脳損傷フェーズ2臨床試験が順調に進捗したことから、研究開発及び製造に関わる費用が計画値を上回ったこと」なんて書いてあれば、みんな喜ぶわけです。
これが地の底への片道切符だとは知らずに。
突然の告白で驚異の4連続ストップ安
次の日、2019年1月29日。
サンバイオ、突然の告白です。
その時、熱気に湧く投資家に木星の風速の如き烈風が吹きました。
慢性期脳梗塞を対象にした米国でのフェーズ 2b 臨床試験の主要評価項目を達成できなかったの。
ごめんね♡(てへぺろ)
この突然の告白で、投資家のみなさんは一気に目を覚まします。
この日から株価は驚異の4連続ストップ安を演じ、翌2月6日には2,620円にまで落ちました。
数日前まで12,000円だったのですよ?
これがバイオの恐ろしいところです。
上がる時は実態を伴わず、夢を全て織り込んだ価格すら超え、天に向かうのに、
下げるときは容赦なく地の底に向かって真っ逆さまなのです。
擁護
サンバイオを少し擁護しておきます。
CNS(Central Nervous System:中枢神経系)領域の試験、とりわけこれまで薬剤の出ていない疾患については「評価系」も構築しないといけません。言い換えれば、ゴールを自分でつくらないといけません。
サンバイオはゴールを高くしすぎていたため、主要評価項目で有意差を出すことができませんでした。
難しい試験だったのです。
しかしではゴールを低くすればよいのかというと、そんなに単純な話ではありません。ゴールを低くすると、その薬の既存薬や疾患の治療に対する優位性を示しにくくなるからです。
仮にハードルを下げた臨床試験で成功したとしても、それは十分な費用対効果が認められて、十分な薬価がつくのでしょうか。
効果が中途半端な薬を世に出しても、患者さんの役に、ひいてはサンバイオの売り上げにはつながらないというわけです。
サンバイオは大変な道を頑張って歩んでいるのです。
まとめ
伝説のサンバイオについて、振り返ってみました。
さてアンジェスはどうでしょうかね?
DNAワクチンはどの会社も成功していません。
もちろんアンジェスもです。
アンジェスの過去の実績、ご存じですか?
アンジェスが株券印刷するの得意なの、ご存じですか?
今の株価に乗れるなら、乗って大金を稼ぐのは素晴らしいことです。
ただあなたが初心者で夢を買っているのならば、ゆめゆめご注意ください。
刈られるのはあなたの夢かもしれませんよ?
参考
そのバイオベンチャー大丈夫?レパーサの需要と供給から考える、薬の売り上げ予測 –
SB623だけじゃない!1型糖尿病にもチャレンジ、サンバイオ(4592)
慢性脳梗塞治験の失敗をリカバリーできるか、サンバイオ(4592)
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