日本株の個別投資をしている方は、サンバイオの名を耳にしたことがあるかと思います。
サンバイオは私にとっても色々と思い入れの深い銘柄です。
本ブログでも最初に取り上げた会社ですね。
SB623という慢性/外傷性脳梗塞に対する再生医療等製剤の開発で名を挙げていましたが、大きく躓いてしまい、立て直している最中の会社です。去年の今頃は12,000円から転げ落ちていた最中でしょうか。
その頃は既に持っていませんでしたが、アキュセラ以来のバイオベンチャーの怖さを思い知りました。
さてそんなサンバイオですが、先日「1型糖尿病に対する研究を順天堂大学と共同で進める契約」を締結したと発表しました。
今日は1型糖尿病にフォーカスして、この動きにどんな意味があるのか考えてみたいと思います。
Contents
1型糖尿病と2型糖尿病
糖尿病の簡単なお話は過去の記事を参照ください。
要は「血糖が上昇して、それに起因した神経障害や血管障害等の合併症が生じる疾患」です。
この糖尿病ですが大きく1型糖尿病と2型糖尿病があります。
遺伝的なリスクはありますが、主として生活習慣に起因して生じる糖尿病が、一般に有名な2型糖尿病になります。
今日のメインはもう一方の1型糖尿病です。
1型糖尿病は言うなれば、自己免疫疾患の一種です。体内の免疫細胞が過剰な働きをしてしまい、血糖降下ホルモンであるインスリンを分泌する膵臓の細胞を壊してしまうため、血糖が上昇してしまう病気ですね。
その病態から分かるかと思いますが、インスリンを分泌する細胞自体が失われてしまうため、インスリンそのものを生涯に渡り補充しなければなりません。つまり根治的な治療法がありません。またインスリンは皮下注射で投与する必要がありますので、患者さんの生活に与える影響は甚大です。
間葉系幹細胞とiPS細胞
今回サンバイオがタッグを組んだ順天堂大学の難治性疾患診断・治療学の岡崎教授は「間葉系幹細胞から膵β細胞を作製する技術」を開発しました。サンバイオはこの研究を手助けし、1型糖尿病の「治療」を目指すというわけです。
間葉系幹細胞(MSC)は多様な細胞に分化することができる幹細胞の一種です。
幹細胞はノーベル賞で有名になったiPS細胞が広く知られていますね。
このiPS細胞と今回のMSCとの違いは何でしょうか?
最も大きな違いとしては、MSCには「免疫調整機能という機能が備わっているという点」が挙げられます。他人のiPS細胞から作製した臓器を移植すると、拒絶反応が起きますが、MSCには免疫調整能があるため、移植しても拒絶反応は起きない点が大きな強みとなります。
また、MSCを用いた治療では「腫瘍化のリスクも少ない」ことが知られております。
製品化という観点では、他家由来の細胞を使用できることは大変利点があります。自己由来のみで行く場合、患者さんから採取して、それを適切に培養して、投与に至るという手間が発生するためです。いわば完全なるオーダーメイド治療になります(例:キムリア)。それは甚大なコストがかかりますので、患者数の多い疾患では致命的となります。
あ、ちなみにiPSのiが小文字なのは、なぜだかご存じですか?
これは産みの親の山中教授がiPODのように広く普及してほしいっていう思いを込めて名付けたからですよ。
願かけですね!
まとめ
今回は共同研究の契約締結であり、まだ製品化に向けてのアウトラインは示されておりません。
脳梗塞の治験で大きく躓いてしまったサンバイオが復活できるのか、そのための資金は十分にあるのか、増資の懸念は?など、サンバイオが本当にまだ終わってないのか、個人投資家としては大いに不安が残るところですが、同じ医薬品業界に属するものとして、1型糖尿病の治療が前に進むことを強く祈っております。
サンバイオ頑張れ!
…でもまだ株は買わないよ?
雑記
雪山から帰ってきました!
株はインが早すぎた大日本住友さんを処理して、準主力のシステムリサーチ(3771)を主力に格上げしました。
資金は豆蔵の分からスライドしています。
増配の影響で今日はやや上げすぎですが、例年の4Qならば、上方修正も見込めるかと思い、このまま持ちます!
キャッシュもそこそこで、対ショック体制も一応整えてあります。一応ね‥‥