私の記事の中でも特に専門的で難解と思われる、審査報告書関連の記事。
結構増えてきたので、シリーズ化するとともに、これまで書いてきた記事をまとめてみたいと思います。
幅広い方からTwitterにコメント頂けたりするので、私は結構書いてて楽しい!
ただし、通常の記事の数倍は作成に時間がかかるとともに、つまらなそうな場合は途中でぽしゃる時もあって、労力の割に合わないことも。
このまとめ記事では、せっかくなので記事の内容だけではなく、作成の裏側や反響等も含めて、ちょっと振り返ります!
ブログトップページに貼っておくとともに、今後随時追記していきます。
未読のもので興味がありましたら、ぜひご一読くださいー!
Contents
アビガン:催奇形性の副作用と薬害の教訓
4月と5月に書いたアビガンの記事が審査報告書を取り扱った初めての記事ですね。
アビガンはもはや知らない人はいないCOVID-19治療薬候補です。(もうすぐ承認かも?)
インフルエンザの治療薬として承認されていますが、非常にクリティカルな副作用として催奇形性があります。
この催奇形性の副作用の概要やそれにかかわるリスク管理計画について、過去に起きた催奇形性の薬害事件である、サリドマイドを例に考察しています。
この記事は結構大きな反響があったものです。
もしかしたらこの記事で私のことを知った方もおられるかもしれませんね。
芸能人がアビガンで回復したとか、予防投与するべきだとか、5月末に承認されるなんて話が巷に溢れ、
という気持ちで記載したことを覚えています。
Twitterでは変な人の方から熱いメッセージも頂きました。
今なら鼻で笑いながらバニッシュ+デスするのですが、当時はショックを受けていたものです。
「そんなものはバッググラウンドで処理しろ。」
と教わったのをよく覚えています。
現在はプラセボ対照の第3相試験で有効性を出せているので、有効性や承認の是非についてとやかく言うつもりはありませんが、当時は全然データもなく、むしろ承認すること自体がありえない状況でしたね。
もっとも、催奇形性の副作用が非常に憂慮するべきであることには今も変わりはありません。
承認要件でも必ず触れられるはずですので、今後に注視していきたいですね。
ヒドロキシクロロキン:未承認薬を広範に使用することの危険性
トランプさんが予防投与するくらいに好んでいた、COVID-19治療薬候補、ヒドロキシクロロキンの記事です。
トランプさんが服薬していたこともあってか、世間ではヒドロキシクロロキンもアビガンと並んで結構な人気?を誇っていました。
アビガンの記事が反響を呼び、読者の方からヒドロキシクロロキンについても見てみたいとのご要望があり、記事にしました。
ヒドロキシクロロキンの心血管系の副作用に触れながら、未承認薬の漫然な使用について警告しています。
ゾルゲンスマ:激おこPMDAと先駆け審査指定制度
この記事は世界一高額な薬となった、ゾルゲンスマの薬価算定に関する記事ですが、最後のほうで審査報告書の内容についても触れています。
先駆け審査指定をもらったにもかかわらず、不手際を重ねて、PMDAがぶちぎれたことについて記載しています。
「このような多数かつ多岐にわたる問題は、資料の十分性の問題にとどまらず、日本の患者に適用する製品の品質、安全性および有効性を担保するために重要な事項についての申請者の認識が極めて不十分であったことに起因すると考える」
この文章に込められたPMDA担当者の熱い思いは必見ですね。
多数かつ多岐にわたる問題。
なんてね♡
モディオダール:流通管理規制の裏側
ナルコレプシーの治療薬であったモディオダールが、特発性過眠症の適応を取得した際に、流通管理が行われることになった原因について、審査報告書から考察しました。
併せて、Patient Centricityの本質についても考えています。
この記事は関係者の方々に高く評価いただき、非常に思い入れの深い記事となりました。
シルガード9:メディアに貶められたHPVワクチンの実際
ついに承認された9価HPVワクチンの有効性や安全性について、審査報告書からまとめました。
HPVワクチンは私がブログを書くきっかけの1つ。
HPVワクチン事件は、いかにメディアの医療リテラシーが低いかを思い知った事件でした。
だからHPVワクチンの記事を書くのは私の悲願だったのです。
コラテジェン:条件付き・期限付き承認の是非
バイオ投資家では知らない人はいない(るな調べ)という、増資大好き万年赤字バイオのアンジェスが、何とかひねり出した遺伝子治療薬コラテジェンについて、審査報告書からまとめました。
全体にわたり、厳しめの論調ですが、有効性が不十分な薬剤の再生医療等製品の条件付き・期限付き承認については、海外からも批判を浴びており、他の優れた再生医療等製品を汚すことにもなりえます。
それが言いたかったのです。
別にアンジェスを揶揄したかったわけではないのです。
DNAワクチンも頑張ってね。うん。
ビルテプソ:主要評価項目の設定が勝利のカギ
国産初の核酸医薬品、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)で適応を取得したビルテプソの臨床試験デザインについて、ひも解いています。
主要評価項目を変更することで、勝利をつかんだという、臨床試験戦略の上手さが光る医薬品ですね。
個人的にはこの審査報告書シリーズでも好きな記事の1つです。
評判もよく、多くの方に読んで頂けましたね。
評価項目に関しては他に何個か記事にしていますので、宜しければそちらもご覧ください。
ニコチン依存症治療アプリ:初の治療アプリの紆余曲折
国内初の治療アプリ、Cure APPのニコチン依存症アプリを取り上げました。
治療アプリの審査自体が初めてであり、医療機器該当性やアルゴリズム変更時の対応などについても、議論がなされていて、なかなか興味深い内容でしたが、書いている私もちょっと難しく、いまいち切れ味の悪い内容になっていたかもしれません。
とはいえ、今後に続くであろう、治療アプリの礎となる審査報告書ですので、興味ある方は審査報告書だけでもぜひご一読を。
ラジカット:希少疾患における医薬品の意義
若干怪しい脳保護薬ラジカットが、ALSの適応を取得するまでのお話をまとめてみました。
切れ味は良くない。
しかし治療薬がほぼない中で有効性を示せた医薬品には臨床的意義はあるかもしれない。
という部分が議論したいポイントでした。
今のところ、こんなものですね。
でも割と書いてますよねー!
リクエストも頂いているのですが、なかなか対応できずに申し訳ありません。
子育てが落ち着いたら再開します!