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億越えの世界一高価な遺伝子治療薬ゾルゲンスマ承認、薬価はどうなった?(ノバルティス)

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世界一高価な薬剤は何かご存知ですか。

日本においても承認に向けて動いている、ノバルティスの「脊髄性筋萎縮症(SMA)遺伝子治療薬ゾルゲンスマです。

 

ゾーマだか、ドルマゲスだか、大ボス感溢れる名前の薬剤ですが、その価格は裏ボスもびっくりな感じになりそうです!

そんなゾルゲンスマについて、今日は考えていきたいと思います。

 

※2020/5/11:薬価について追記

 

 

 

脊髄性筋萎縮症(SMA)について

まずは対象疾患について、軽く見ていきます。

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)とは、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症になります。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロンを害する病気であり、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮が進行していく指定難病です。

ALSは患者さんが国会議員になられて話題になりましたね。

何となくご存知の方も多いのではないかと思います。

 

今回ゾルゲンスマが適応を取得しようとしているI型SMAは、かなりレアな疾患です。

つまり適応を取得しても対象患者数はかなり限定されるはずです。

参考:脊髄性筋萎縮症(指定難病3) – 難病情報センター

 


 

 

ゾルゲンスマについて

作用機序と利点

ゾルゲンスマは遺伝子治療薬です。

作用機序は難しいですが、簡単に説明すると「静脈投与→脊髄に到達→核内で環状DNA(エピソーム)として永続的に留まる→正常なタンパク質を生産→疾患改善」といった感じになります。

高い効果が期待でき、1回で治療が完了するといった特徴を持ちます。

参考:コラテジェン  

高い薬価の問題

さて素晴らしい薬ではありますが、問題となりそうなのが高い薬価です。

アメリカでは1回2億円以上必要となります!!

ただし1回で治療終了となり、継続投与は不要なため、治療全体にかかる費用は抑えられます

そして前述のように患者数はかなり限定されますので、医療財政に与える影響はそこまで大きくないかもしれません。

そして1回2億だとしても、既存薬のスピンラザ4-5年分です。

治療が1回で済めば、6年目から元を取れるのです!

 

ちなみにアメリカでの売り上げは半年で400億円です。

ノバルティスさん、儲かっていますね。

 

アメリカは国民皆保険ではないため、薬価は自由がききますが、逆に高額医療を受けられる方は限定されます。

この売り上げや薬価をそのまま日本に適応して考えてはいけないことに、注意するべきではあります。

日本は国民皆保険であり、高額医薬品を大量の患者さんが使用すると医療財政が崩壊します。

ですので、承認後に万が一他の適応取得などで患者数が増えれば、オプジーボの時に無理やりつくられた制度で、薬価が抑制される可能性はあります。

参考:特例市場拡大再算定制度

 

今後の見通し

このゾルゲンスマですが、2/26の薬事・食品衛生審議会再生医療医薬品等・生物由来技術部会での承認の可否を審議する見通しとなりました。

追記承認されました!

 

この薬剤は先駆け審査指定制度の対象となったものの、申請から1年以上審議対象から外れていました。

理由としては、前例がない、製造工程が複雑で確認が難しい等の理由になります。

ちょっと面倒だから理由つけて後回しにしてない?

※審査報告書によるとノバルティスの対応の問題も指摘されています。

 

もし無事に通過すれば、2020年3月に承認、5月に薬価収載予定となります。

追記:薬価は1回あたり1億6700万円で最終調整中です

 

参考:先駆け審査指定制度



 

 

まとめ

高い薬価がつきそうなゾルゲンスマについて考えてきました。

私は「この薬は承認されると考えています。

そして通常通り、原価計算方式に基づいて薬価が算定されるとすると、「薬価は1億円を超えるはずです。

この「優れた」「超高額薬」を日本はどう扱うのか今後が楽しみです。

 

患者数から医療経済に与える影響は限定的と見ますが、まぁきっと色々なところから、色々なやっかみが入るでしょうね。

 

予言しておきますが、「値段が高いってだけ」で、メディアや中協医は叩いてくるでしょう。

でも自分や家族がこの疾患のような指定難病に罹患したとき、胸を張って同じこと言えるのかな?

この難病、厚労省の指定難病のページ見ているだけでつらくなります。

せっかくの画期的新薬、患者さんまで届けてほしいです。

 

この薬を研究所で創った方々は、正直こんなくだらない価格の問題で、うだうだやってほしくはないのではないか?と思います。

じゃあメーカーが安くしてよって、平気で言われる世の中ですが、アンメットメディカルニーズを満たすことは、本当に大事だと思う反面、製薬会社もボランティアじゃないので、それなりにペイできないと困るのです。

そもそも日本では自由に薬価つけられませんしね。

そしてそのお金が次の薬の開発につながります

 

参考

 おまけ

・重い話で終わりそうだったので、ちょっと箸休め的おまけ

私はゾーマもドルマゲスも特に苦戦しませんでしたね。

ドラクエできつかったのは、

・ロマリアのスクルトする芋虫(3):固いよ

・グランバニアへの洞窟のザラキするミミック(5):もう箱開けない

・ベギラマでバーバラを消し炭にするストーンビースト(6):ほんとやめて

・燃えるBGMとこおりつく息のムドー(6):えっ?2戦目!?

・ダーマのねんじボールメタボ(7):それはまだはやい

・くるくる回す風のうんたら(7):うぅ。気持ち悪い

・見つからない石板(7):どこ?どこなのー?どこだぁぁ!(半ギレ)

あたりでしょうか。

ちなみに一部リメイク作品での感想です。

たぶんこの記憶間違っていないと思いますが、何となく分かります?

 

…えっと、何の話でしたっけ?

あー、このゾルゲンスマですが、今後も注視していきたいと思います!!